
パンデミックを経て、健康管理やウェルネスへの関心が高まる中、世界のウェルネス市場は大きく回復し、成長を続けています。2022年には市場規模が過去最高の5.6兆ドルに達し、2027年には8.5兆ドルに達するとの予測もあります。このように拡大を続けるウェルネス市場の中でも、特に注目を集めているのが「ウェルネスツーリズム」と呼ばれる新しい旅のスタイルです。
ウェルネスツーリズムとは
ウェルネスツーリズムは、心身の健康を増進することを目的とした旅行を指します。具体的には、マインドフルネス瞑想、ヨガ、スパ、フィットネスプログラム、健康的な食事など、健康とウェルネスに焦点を当てたリトリート活動が含まれます。ウェルネスツーリズムの特徴は、旅行の主目的がリラクゼーションやストレス解消、全体的な幸福感の向上としていることです。
最近では、メディカルツーリズム(医療ツーリズム)というカテゴリーも注目されていますが、ウェルネスツーリズムとは目的や内容が異なるため、それぞれの違いを正しく理解することが大切です。

ウェルネスツーリズム市場の状況
ウェルネスツーリズム市場は、2015年の5,630億ドルから2017年には6,390億ドルへと成長し、年平均成長率は6.5%を記録しました。これは、全体的な観光業の成長率3.2%を大きく上回っています。さらに、2022年には1兆ドルに達し、2027年までに1.4兆ドルに達するとの予測もあります。この成長は、旅行者が従来の観光に加えて健康とウェルネスを重視する傾向が強まっていることを反映しています。特に、パンデミック後には予防的な健康管理やウェルネスへの関心が高まり、ウェルネスツーリズムの需要がさらに拡大しています。
ウェルネスツーリズムとリトリート

ウェルネスツーリズムとリトリートは、心身の健康や幸福感を追求する点で深く関係しています。ウェルネスツーリズムは、旅を通じて健康的な体験を求める旅行形態(健康促進の旅全般)を指し、心と体のバランスを整えることを目的としています。その中でもリトリートは、静寂な自然環境や特別なプログラムを通じて、日常生活から離れて自分自身と向き合う時間を提供する一つの形式です。
リトリートは、ヨガや瞑想、森林浴、温泉、地元の食材を使ったヘルシーな食事など、多くのウェルネス活動を取り入れており、ウェルネスツーリズムの中核をなす存在といえます。またリトリートの特徴は、ただ体験を楽しむだけでなく、心身を癒し、新たなエネルギーを得ることで、旅の後の日常生活にもポジティブな変化をもたらす点にあります。
ウェルネスツーリズムが幅広い健康促進の旅全般を指すのに対し、リトリートはその中でも特に深いリラクゼーションや自己成長を目的とした特化型の体験であり、ウェルネスツーリズムを実現する一つの方法になります。
日本のウェルネスツーリズム

日本は自然、文化、伝統が融合したウェルネス体験が豊富にあり、多くの人々に癒やしを届けています。世界遺産にも登録された和食をはじめ、温泉、森林浴、坐禅など、独自の文化や自然を生かしたウェルネス体験が数多く存在します。これらの体験は、心と体の健康を重視するウェルネスツーリズムの視点からも高い価値を持っています。
例えば、温泉は古くから「湯治」として利用され、身体を癒すだけでなく、精神的なリラクゼーションをもたらす場として親しまれてきました。森林浴は、日本発祥の健康法であり、自然の中で過ごすことでストレスを軽減し、免疫力を高める効果が科学的にも認められています。
また、坐禅や瞑想といった禅の実践は、忙しい現代生活の中で自分と向き合う時間を提供し、心の静寂を取り戻す機会となります。さらに、日本各地に点在する伝統的な温泉地やリトリート施設では、和食を取り入れたヘルシーな食事や、地域の文化を体験できるプログラムが提供され、国内外から訪れる人々を魅了しています。
最後に
ウェルネス市場の成長が続く中で、健康と癒しを求める旅行形態としてウェルネスツーリズムが注目を集めています。日本は、温泉、森林浴、坐禅といった豊かな自然や文化を生かしたリトリート体験が豊富に揃っており、国内外の旅行者に心身のバランスを整える新たな癒しの形を提供しています。単なる観光では味わえない、深いリラクゼーションと自己成長の機会を体験してみましょう。
参照元:
Global Wellness Institute, A Decade of Wellness Tourism: First-Ever Compilation of 10+ Years of Market Data
Global Wellness Institute, WELLNESS TOURISM